【中国雑感コラム】Vol.100「改憲論議」
作者:TJCC日付:2023-06-12 13:56:00
【中国雑感コラム】Vol.100「改憲論議」
本コラムも今月で100回目の掲載を迎えることができ、読者の皆さまに感謝申し上げます。約9年前の最初の頃は日本人から見た中国の文化、習慣、体験等について執筆していましたが、3年前コロナ禍で日本に帰国したため、日本の話題を中心に中国の状況を加味する形で続けていけたらと思います。(3年ぶりに中国を訪問し、新たな体験をしたいものです・・)
5月3日の「憲法記念日」に際し、安全保障、自衛隊問題など「改憲議論」が活発になっています。その中でも注目を集めているのが、同性婚を認めるための「改憲論議」です。現在、日本国内では同性婚を認めるための法律が存在していません。しかし、一方で憲法上の平等原則に基づき、同性婚を認めるべきとの主張があります。憲法においては、性的指向によって差別をすることは許されず、全ての人々は人間として平等であると明記されています。そのような状況下、首相秘書官がLGBTに対する差別発言により更迭されたり、岸田首相は「同性婚は家族観や価値観、社会が変わってしまう課題」と時代遅れも甚だしい発言がありました。
海外では同性婚を認め合法化する国が増えています。たとえばアメリカでは2015年に最高裁判所が同性婚の合法化を認め、同性婚が全国的に合法となりました。同様に、カナダやメキシコでも同性婚が合法化されています。
ヨーロッパでは、オランダが2001年に同性婚を合法化したのを皮切りに、ベルギー、スペイン、イギリス、フランス、ドイツなど、多くの国で同性婚が認められています。また、北欧諸国では同性婚の他に、同性パートナーシップや共同養育制度が導入され、LGBTQ+の人々の権利が法的に保護されています。
アジア地域では台湾が2019年に同性婚を合法化しました。中国では主要都市において権利を主張する活動が行われているものの、同性婚を合法化する兆しはほとんどありません。
日本において同性婚を認める憲法改正のためには、国民投票や議会の3分の2以上の賛成が必要となります。憲法に基づく平等の観点から、「個々人を大切にする」「多様性を認める」という社会全体の理解が必要であり、今後も同性婚を認めるための議論が続くことが予想されます。(NT)
TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕