【中国雑感コラム】 Vol.102「国際金融都市ランキングで東京が激落」

作者:TJCC日付:2023-09-05 13:33:00

【中国雑感コラム】 Vol.102「国際金融都市ランキングで東京が激落」

世界の国際金融都市の競争力を示す「グローバル金融センターインデックス(GFCI)」の最新ランキング(2023年3月)で、東京は21位まで下がり国際金融都市としての地位が大きく揺らいでいる。3年前の3位、1年前の9位から急落している。GFCIはイギリスのシンクタンクなどが公表しているもので、世界130の金融都市を対象に、「ビジネス環境」「金融人材」「インフラ」などについて、国際機関のデータや金融関係者へのアンケート等により、各都市のスコアを算出している。

最新ランキングのトップ3は、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールで、過去5年間トップ10を維持しているのは、これら3都市と香港、上海だけである。アジア地域で見ても、シンガポール(3位)、香港(4位)、上海(7位)、ソウル(10位)、深圳(12位)、北京(13位)に次いで7位となってしまった。

世界の主要株式市場の規模をみると、最大の市場はニューヨーク証券取引所(2023年2月末時価総額:3439兆円)で、アメリカ・ナスダック市場(同2436兆円)、上海証券取引所(同978兆円)、ユーロネクスト(同897兆円)、東京証券取引所(同710兆円)、香港証券取引所(同624兆円)、ロンドン証券取引所(同438兆円)と続く。東京だけが、株式市場規模が大きいにもかかわらず、GFCIランキングで順位を大きく落としている。理由としては、税制上の制約や高度金融人材の不足、語学の問題等が指摘されている。さらに、性的マイノリティに対する差別禁止や同性婚を法的に認めていないのは、G7諸国の中で日本だけであり、高度な教育を受け、教養レベルの高い世界の金融関係者は、日本人が考える以上に、こうした点に敏感である。

2019年の大規模な香港民主化デモの時、「世界の金融機関が、香港を脱出して東京に来る」と期待する声が日本国内で多く聞かれたが、香港の地位は揺らぐどころか、「中国本土のゲートウェイ」としてのポジションをますます強めている。日本はこの現実をしっかり認識し、何が問題なのか、世界は何を求めているのかを認識し、改善すべき点は改善し、ここぞという分野に資源を集中投入していくことが重要ではないだろうか。(NT)

TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕