海南自由貿易港における免税品販売の最新状況について

作者:TJCC日付:2023-10-10 10:04:32

海南自由貿易港における免税品販売の最新状況について

海南は2018年に全島に自由貿易区が設置されましたが、2020年には中国政府より「自由貿易港」として指定され、そのタイミングで、海南島外へ持出し可能な免税購入品上限額が1人当たり年間3万元から10万元へと引き上げられています。また免税購入対象商品も38種から45種へと拡大され、従来から対象だった化粧品、スーツケース、時計等に加えて、天然蜂蜜、パソコンタブレット、ウェアラブルデバイス、携帯電話、電子ゲーム機、アルコール等の7種が追加されました。現在、海南島には中国の免税政策を活用した免税店が多く集まっており、中国国内外の観光客を引き付けています。各免税店では日本商品を含め、化粧品、時計、宝石、酒等の高級品やブランド商品が販売されています。

現在の海南の免税品販売状況を見てみますと、まず免税店として下表にあげた店が存在しています。下表の免税店の202316月の合計販売額は323.96RMBで前年同期比31%増、前述の販売額のうち免税品販売額が264.84RMBで前年同期比26%増となっています。免税品購入者人数は延べ516.6万人で前年同期比34%増、免税品購入件数は2568.23件で前年同期比5.8%増に上っています。

<海南の免税店一覧>

所在地

店名

運営会社

 

 

海口

海口国際免税城

中免集団

日月広場免税店

美蘭空港免税店T1店,T2店

海控グローバル精品免税城

海控集団

観瀾湖免税城

深免集団

 

三亜

三亜国際免税城

中免集団

鳳凰空港免税店

海旅免税城

海旅集団

国薬中服免税城

国薬中服集団

万寧

王府井国際免税港

王府井集団

瓊海

博鰲市内免税店

中免集団

免税品販売の盛り上がりとともに免税店での自社商品販売に興味を持つ日系企業も少なくありませんが、具体的な流通経路に関して、現時点では現地の免税店運営会社との提携や契約が必要となります。免税店運営会社の責任者に確認したところ、自社商品を販売する方法として現状は下記3種類の方法があります。

カウンターまたは店舗を借りて、自身で従業員を雇って商品を販売する方法

月に1回、販売実績を運営会社と照合して決済が行われます。事前に合意した割合をもとに売上高から運営会社の収入が差し引かれます(売上金額と関係なく店舗面積に応じて基本料金が設定される)。現地従業員が直接商品説明や販促活動ができるため、この方法が最も使われています。

免税店運営会社に商品を買い取ってもらい、免税店運営会社が販売する方法

例えばアルコール類等の人気商品であれば可能となる方法です。協議した価格で免税店の運営会社が商品を買い取り、運営会社の名義で販売を行ないます。この場合、商品代は約23ヶ月後の支払となります。

免税店運営会社に販売を委託する方法

この方法では人件費や家賃は発生しませんが、共益費、水道光熱費、基本料金が発生します。また、運営会社によっては「貿易会社との取引は行わない」「自社工場を持っている会社でなければ取引しない」といった条件が提示される場合があります。また会社紹介、製品紹介、ブランド紹介等の資料を事前に用意する必要があります。

しかし、中国政府は2025年までに海南省全体を「独立税関区」にする予定で、ソフト面とハード面で各種施設の建設を急いでいます。「独立税関区」になれば、ネガティブリスト以外の商品が全て免税となる予定ですので、免税店運営会社と提携する意味はなくなる可能性があります。つい最近、ルイヴィトン海口1号店は上記の免税店ではなく、免税ではない高級ショッピングセンターにしたという情報も上がっています。免税店運営会社が保有する「特別ライセンス」を気にせず、できる限り自社で経営を行ないたいという企業が増えていくのではないかと考えられます。

海南自由貿易港の建設に伴い、中国国内外からの観光客増加が見込まれており、海南での免税品販売は非常に成長が期待される分野です。自社製品の販売に関心を持つ企業においては、できる限り早い段階から調査・検討・計画に着手するようになさってください。