“封鎖運営”開始に向けて全面的準備を進める海南自由貿易港の現在
作者:TJCC日付:2024-06-07 10:37:34
“封鎖運営”開始に向けて全面的準備を進める海南自由貿易港の現在
国から発表された「海南自由貿易港建設総体方案」に基づき、海南自由貿易港では2025年末までに正式に“封鎖運営”が開始される予定です。この“封鎖運営”とは、海南島全体を税関により封鎖するという意味で、封鎖対象は主に貨物や商品等であり、中国国内から海南島への人の往来に影響するものではありません。税関によって海南島と中国国内の他地域との間にボーダーが引かれ、そのボーダーを超えて中国国内に入る貨物や商品については輸入規定に従って関連手続きがされることとなります。この“封鎖運営”は海南自由貿易港建設の基礎として、海南島全体を税関が監督する特殊区域とするためのもので、“封鎖運営”は海南島内の自由貿易を活性化させる契機になると言われています。封鎖運営は以下の3ステップで進めることが計画されています。
1. 2023年末までに封鎖運営のためのハード条件を整備。
2. 2024年末までに封鎖運営のための各種準備を完了。
3. 2025年末までの適切な時期に封鎖運営を開始。
現在、海南島では封鎖運営に向けた準備が全面的に進められており、各準備作業が段階的な進展を遂げています。現在の主な進捗をまとめると以下のようになります。
1.基盤建設面:瓊海博鳌空港、海口新海港、南港への「二線口岸」(上述した中国国内と海南島間のボーダーを運営するための税関施設)の建設など、第一期とされる封鎖運営に向けた31項目がほぼ完成している。
2.政策推進面:海南島で免税購入した物品の島外持ち出しに関わる政策、原材料補助材料や設備、交通道具等の「ゼロ関税」に関わる政策など、180以上の政策文書が施行され、政策制度の基本体系が明確化されている。
3.リスク管理面:貨物貿易・サービス貿易・外商投資・データ流通・その他の5分野で、開放政策の試行、封鎖運営のインフラ施設の模擬テストの実施、政府人員の管理対応のロールプレイングの実施をしたりするなど、すでに27のテストがすでに実施されている。これらテストで露呈したリスク点をもとにリスク防止計画の立案が進められる。
海南自由貿易港の封鎖運営の核は『一線開放、二線管理、島内自由』だとされています。『一線開放』とは、海南と中国国外の間の国境線(一線)での貿易を開放・自由化することを指し、『二線管理』とは、上述したように海南と中国国内の他地域との間にボーダー(二線)を引いて管理することを指し、『島内自由』とは海南島内の流通をはじめ金融、人員流動、情報面の自由化を進めることを指します。具体的な施策として特に注目されるものは、貨物貿易において「ゼロ関税」を基本特徴とする自由化・便利化の制度が導入されることです。
例えば、今年2023年は海南島を訪れた旅行客の免税購入体験向上に向けて、海関総署等から新たな免税品購入方式が追加されました。従来は、海南に来て免税で購入した商品を海南島外の自身の住所に郵送を手配する「郵送配達」方式と、海南島居住者が海南島を離れる前に免税で購入した商品を、海南島に戻ってから受け取れる「返島受取」の2つの購入方式しか認められていませんでしたが、2023年4月1日からは税関総署が公布したリスト内の商品で単価2万元未満の商品の場合、商品分類ごとの上限数量内で海南島での免税購入時にその場で商品を受け取れる「即購即提」方式と、単価5万元以上の商品の場合に輸入税相当の保証金支払うことで、免税購入時にその場で商品を受け取れる「担保即提」方式(海南島を離れる際に税関にて購入品が島内で使用されていないことが確認されれば保証金は返される)の2つの新しい方式も追加されました。前者の「即購即提」方式は主に化粧品、香水、カバン、粉ミルクなど15種類の一般商品が対象とされており、後者の「担保即提」方式は主に単価5万元以上の免税品が対象とされています。