【中国雑感コラム】日本の新型コロナウィルス対策は大丈夫か?
作者:TJCC日付:2020-04-30 09:46:00
中国雑感コラム「日本の新型コロナウィルス対策は大丈夫か?」
先月に引き続いて「新型コロナウィルス」について、今回は日本の対策を見てみたいと思う。中国では収束に向かっているが、欧米では依然感染拡大が続いている現在、日本だけが何とか抑え込んでいるとは信じ難く(それでも4月19日感染者数1万人を突破)、もしかしたら水面下で欧米のように感染拡大しているのではないか不安を感じずにはいられない。というのも日本だけが極端にPCR検査数が少ないからである。
4月10日前後の検査データではあるが、ドイツ132万件(人口百万人当たり16千件)、韓国51万件(人口百万人当たり10千件)に対し、日本は7.5万件(人口百万人当たり0.6千件)と明らかに少ない。4月7日、遂に東京など7都府県に対し、そして4月16日に全国に対し「緊急事態宣言」が出されたが、まだ収まる気配は見えてこない。
4月21日時点で感染者数11,136人、死亡者数263人(他にクルーズ船の感染者数712人、死亡者数13人)であり、他国と比べて少ない数字である。現在東京では毎日100人~200人の新規感染者が報告されているが、従来報告されてきた年齢構成とは異なり、20代から40代の比較的若い層が多いのが特徴である。日本の対策は「クラスター(集団)」を見つけ追跡しつぶしていく方法であるが、ここにきて新規感染者の7割以上が経路不明で追跡できない、その多くが若者の間の市中感染であり、一番怖れている状況が拡大しているのである。日本の検査体制は医療崩壊の懸念から、一定の条件に合う人のみを検査することになっており、市中感染や若者に多いと思われる“無症状感染者”はなかなか拾えないのが実情だ(最近検査基準の緩和やドライブスルー方式等が採用されつつあるが)。とは言っても死亡者数は歴然とした事実であるから、この数字から見ると明らかに欧米に比べて抑えられているようには見える。充分な検査数のもとでこの数値であれば、ある程度不安は拭えるのであるが、正直何とも言えない。
日本は他国のように、法律によりロックダウン(都市封鎖)はできないが、外出の自粛や“ソーシャルディスタンス”の確保、更にこまめな手洗いなど、どれだけの国民が自覚し行動するか、また高い公衆衛生レベルと高度医療により踏ん張ることができるか真価が問われている。もしこのまま封じ込めることが できなければ、来年のオリンピックも危うい。(NT)
TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕