【中国雑感コラム】東京の不動産投資額が世界首位 コロナで海外資金流入

作者:TJCC日付:2021-01-25 10:08:00

中国雑感コラム「東京の不動産投資額が世界首位 コロナで海外資金流入」

2020年は全世界コロナ禍の1年であり、2021年も日本は東京、大阪を中心に緊急事態宣言が出されている中、昨年暮れに上記タイトルにある記事が目についた。

東京の商業用不動産投資額が2020年1~9月期で193億ドル(約2兆円)と、世界首位になったことが不動産サービス大手、ジョーンズラングラサール(JLL)の調査で分かったとのことで、前年同期の4位から躍進したというものである。新型コロナウイルス禍で経済的に大きな打撃を受ける欧米の各都市より影響の少ない東京の不動産市場が、海外の機関投資家などから選好されているという。特に、安定的に稼働している物流施設や賃貸マンションに海外の投資マネーが流入しているというものであった。

JLLによると東京に次いで、2位がソウル(142億ドル)、3位がロンドン(134億ドル)であった。3四半期を通じて東京が首位となるのは、少なくとも08年のリーマンショック以降では初めてという。ただ、本データは中国の都市は含まれていないようで、中国の不動産投資の状況を見れば上海あたりが首位なのかもしれない。日本の不動産に直接投資する海外投資家の割合は今年1~9月期で38%となり、2019年1~12月期と比べても17ポイント増加した。

不動産投資市場は、新型コロナによる渡航制限の影響で、海外投資家の活動が鈍化する可能性もあった。ところが、伸長するネット販売や在宅時間の長期化などを背景に、東京では物流施設や賃貸マンションの稼働率が安定。日本に拠点を持つ海外投資家などが、経済の減速感が強まる欧米の各都市よりも好調な東京の不動産を選好しているとみられる。

専門家曰く、「コロナ禍の危機を10、20年の長期間で乗り越え、低い利回りでも投資を最大化させようとする取引が行われている」と少し明るいニュースである。そのような状況下、今月、東京汐留にある日本最大広告代理店「電通グループ」本社ビルの売却が発表された。(NT)

 

TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕