【中国雑感コラム】気がつけば日本はIT後進国に
作者:TJCC日付:2021-11-25 10:26:00
中国雑感コラム「気がつけば日本はIT後進国に」
かつて経済大国であった日本は、凋落の一途をたどり、スイスの国際経営開発研究所(IMD)の世界競争力ランキングで30年前は1位であったものが、2020年版では34位まで低下してしまいました。特にデジタル技術に関しては、対象63の国・地域のうち62位で、最後から2番目ということになります。
確かに昨年新型コロナウイルスの感染者数把握作業では、当初FAXで情報を送り、手計算で集計していたし、新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」は全く使い物になりませんでした。また、定額給付金申請では、マイナンバーを使ったオンライン申請が可能とされましたが、市区町村の住民基本台帳と連携していなかったため、自治体の職員は照合のために膨大な手作業を強いられ、現場は大混乱に陥りました。その結果「オンラインより郵送の方が早い」という、笑い話のような事態になったのです。
一方中国では、最新技術を駆使して新型コロナウイルス感染拡大を阻止し、生活におけるあらゆる場面でIT化の恩恵を受けています。固定電話を経験していない中国は、30年の間に日本を、カエルが跳ぶように追い越す「リープフロッグ」したわけです。
現在、IT関連企業大手4社のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)は全てアメリカ企業であり、加えてマイクロソフト、ツイッター、ZOOM等、私達がよく利用する会社のほとんどがアメリカに本社を構えておりアメリカはIT先進国といえます。しかし、アメリカのIT企業で働く精鋭達の出身国は、1位が中国で全体の約3割を占めており、IT企業の本社はアメリカにあるものの、中で働いている人の最大ボリュームは中国ということになります。
中国では2011年には教育ICT化の発展に向けて10ヵ年計画を策定し、年間教育予算を惜しみなく投入しています。これらの国家的施策によって、中国でもBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)を始めとした巨大IT企業が次々と誕生し、GAFAの時価総額を抜く企業も出始めています。(NT)
TJCCコンサルティンググループ 田辺尚裕